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Channel: これ、誰がデザインしたの?
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全国カレンダー展&全国カタログ展

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編集宮後です。
1月13日から17日まで、ゲートシティ大崎で開催されていた「全国カレンダー展」「全国カタログ展」を見てきました。読んで字のごとく、企業や団体のカレンダーとカタログの中から優れた作品に与えられる賞で、印刷団体「日本印刷産業連合会」の主催で毎年開催されています。

カレンダー展は、第一部門(一般企業カレンダー。おもに配布用)、第二部門(販促カレンダー。企業が販促のために配布、販売するもの)、第三部門(出版されている販売用カレンダ−)、カタログ展は、第一部門(展覧会などの図録)、第二部門(商品カタログ、通販カタログ、企業案内、学校案内、PR誌、各種報告書など)に分かれ、部門ごとに受賞作品の現物が展示されます。普段あまり目にしない印刷物が見られるので、毎年楽しみにしています。

ゲートシティ大崎での展示風景。
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入選作はこちらにまとめてアップされています(画像なし、受賞タイトルのみ。PDF注意)

第67回全国カレンダー展の入選作
http://www.jfpi.or.jp/topics_images/tpc243_359.pdf

第57回全国カタログ展の入選作
http://www.jfpi.or.jp/topics_images/tpc239_353.pdf

私が興味あるのはカタログ展のほう。受賞した美術展の図録などがまとめて見られるので、テンションがあがります。今年も山田写真製版所の仕事が目立ちました。昨年受賞した『しかけ絵本の世界』も山田写真さんのお仕事。

会場では受賞作品をまとめた小冊子が置かれていました。ウェブでもPDFで公開していただけると、展示を見に行けない方もうれしいのでは?と思いましたが、関係者の皆様いかがでしょう? 展示は終了しましたが、毎年1月に表彰式と展覧会があるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

地図のステーショナリーシリーズ「mati mati(マチマチ)」

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編集宮後です。
このところ、本にまつわる記事が多く、「これ、誰がデザインしたの?」を解明する取材をあまりしていませんでした。久しぶりに気になる製品がリリースされると聞いて、早速取材してまいりました。

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(画像提供:yurulikuDESIGN)

その製品とは、地図メーカー、株式会社ゼンリンが発売する地図のステーショナリーシリーズ「mati mati(マチマチ)」。東京の丸の内、表参道、吉祥寺、福岡の天神の4エリアの実際の地図データをデザインに活用した、クリアファイル、マスキングテープ、ノートパッド、ブックマークの4種類、合計16種類のステーショナリーです。たとえば、丸の内なら歴史的建造物、表参道ならファッションというように、その街を象徴するテーマが地図上で表現されています。シリーズ名の「mati mati」は、「街」を語源としながらも、それぞれの街の様々(=まちまち)な特徴を表現。20〜30代の女性向け商品として、女性社員によるプロジェクトチームが企画し、製品化に至ったそうです。

こちらのシリーズのデザインディレクションからプロダクトデザインまで、トータルで担当したのが、yuruliku|yurulikuDESIGNさんです。文具レーベル「 yuruliku 」のオリジナルプロダクトを発信したり、様々な企業の企画・デザインのサポート、ブランド開発のディレクションなどを行ったりしていらっしゃるクリエイティブユニットで、以前このブログでも取材させていただきました。http://dezagen.exblog.jp/13230932/

今回のプロジェクトでは、ゼンリン社内のプロジェクトチームとともに、2015年6月頃からコンセプト作成、ブランドのネーミング、アイテム展開などの打ち合わせを重ねてきたそうです。

「ゼンリンさんが持っている膨大な地図データをどのように製品にしていくかが課題でした。地図データにはたくさんの情報が含まれているので、どこまで省いてデザインしていいのか、その判断が難しかったですね。また、たとえば神保町なら本屋さんというように、街とテーマが決まってデザインを始めようと思っても、分布が偏っていたり、スペースに収まらなくなったりして、製品にするのが難しい地域もありました。トータルで見たときの世界観を維持しつつ、街のテーマとグラフィックのバランスがとれるように心がけました」(yuruliku|yurulikuDESIGN)

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初回に発売されるアイテムは4種類(写真)。異なる4つの地図要素がそれぞれレイヤーになって重なっているクリアファイル、昼と夜の色の違いを楽しむノートパッド、道路の部分にメッセージが書き込めるマスキングテープ、封筒に入れて送ることができるブックマークなど、それぞれの製品で工夫が施されています。クオリティやデザイン性の高さはもちろん、使うのが楽しくなる配慮がされているのが印象的でした。

製品は、2016 年 1 月 15 日から首都圏と福岡県 のロフト(18店舗)で先行販売され、2016 年 2 月以降、その他の店舗に順次拡大する予定。今後どのようなラインナップになるのか、楽しみです。

mati mati(マチマチ)
http://www.zenrin.co.jp/goods/matimati/

yurulikuDESIGN
http://www.yuruliku.com/design/wrks-matimati.html

箔押し加工会社から生まれた『 ナスカの電子回路 』マスキングテープ

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ライター渡部のほうです。

箔押し加工会社から生まれた『 ナスカの電子回路 』マスキングテープについてのお話。

知っている人は知っている、知らない人は全然知らない、というネット上。
とはいえ、このブログを読んでいる方はすでにご存じでしょう、
箔押し加工会社コスモテックさんとデザイナー小玉文さんの『ナスカの電子回路』。

小玉さんの事務所BULLETのHP
http://bullet-inc.jp/index.htm

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写真ではまるで本物の電子回路基板のようですが、実は紙+印刷+箔押しからなるマスキングテープです。

名前に「ナスカ」が付いていることから伺えるように、小玉文さんのデザインには、「ナスカのハチドリの絵」「ミステリーサークル」「くさび形文字」「パイオニア探査機の金属板」が盛り込まれています。

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このテープに込められた物語は壮大。以下、公式サイトから、その序文の引用です。

『 20xx年、地球は核の炎に包まれた!海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。だが、人類は死滅していなかった!
瓦礫と化したかつての都市 「 TOKIO 」 で発掘された、1巻のマスキングテープ・・・ そこには、 謎の電子回路 ・ ナスカの地上絵 ・ くさび形文字などの図象が、失われた過去の技術で定着されていたのだった。
このオーパーツが、これからの人類にとってどのような意味をもたらすのか・・・。 炎の時は過ぎてしまったが、物語は語り継がれなければならない、永遠に。 』

デザイナーの小玉さん曰く「ただテープを作るのではなくて、世界感。大きく言えばロマンを表すものを作りたかった」とのこと。
SF映画がそうであるように、セットや小道具の作り込みがきちんとしているほど、見ている人への説得力が強まります。このテープもまるで基盤の本物そっくりな精度の高さが、この物語性を支えていると言えるでしょう。

単純なマスキングテープの場合、無色もしくは色柄を印刷した紙に糊を敷き、巻いた後、テープの幅に応じてカットしていきます。
「ナスカの電子回路」の場合、接着剤塗布された和紙材をコスモテックで仕入れ、紙に特色3色の印刷を施し、2回(金と銀)の箔を押します。柄とのズレがないように確認しながら箔押し印刷、巻き取り、再度箔押し、再度巻き取り。
工程が複雑なため、ロールは1本につき、テープ2個分が限度。
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このロールの端と真ん中をカットしてできあがります。
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こんな手間の掛かったマスキングテープの実現化に至った経緯もユニークです。

そもそもはコスモテックと小玉文さんの間で行う、実験的な企画から始まったもの。当初販売は考えておらず、少量生産を考えていたものを、青木さんがツイッター (アオキマサノリ @cosmotech_no1) で公開。
10月9日に公開するやいなや、リツイートが2000台に。
とうとう青木さんも「#出来れば3000RTくらいまで行ったら商品化出来るといいな本気 」と書いた10月12日には、予想を遥かに超える5000RT、そして7000RT近くまで。
「泡吹いた」とはツイッター上の青木さんの言葉ですが、実際、リツイートされるたびに告知音が鳴ってすごかったそうです(想像を絶します)。

「商品化できるといいな」と書いた青木さんでしたが、現実的に製造コストを考えると1本5000円という値段になってしまう。通常であれば製品化をあきらめるところですが、SNS上での反応の大きさ、そして個々のコメントの熱さに応えるべく、青木さんと小玉さんで、実現させるための製造方法、販売方法を模索。
企画も無事会社のOKをもらい、いよいよ製造へ。

告知、販売はすべてネットを通じて会社から直に、販売専用ページ(すでに注文は終了) http://oparts777.wix.com/oparts777 を設け、受注生産で売るという方法に。結果、700個の生産数が決まり、現在制作中です
テープの側面に貼るシールや、梱包の袋、中のカードにもコスモテックの技術が活きた、箔押しで制作しています。

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1本5000円(2本で9000円)という高価なテープですが、高くても欲しい人はいる。
基盤・パーツ好き、マステファンなど、ニッチで限定された市場でも、そうした人たちがいるところに情報が届いたことで可能になった商品といえるでしょう。

青木さんの役職は「営業」ですが、このリツイートの反応を受け、きちんと社長に打診し、製品化まで持って行った、この行動力、実現力は素晴らしい。ブログ相方宮後さんは青木さんのことを「1人代理店」と賞賛。
インターネットがそれほど普及していなかった時代の製品化の告知や流通というのは、広告制作会社や代理店があって成り立つ事だったのですが、現在はブログやSNSを使って、作り手が消費者に情報も商品も届けることも可能です。

青木さんと小玉さんの熱意をさらに感じたい方は是非こちらのサイトをご覧下さい。

facebook の紹介ページ(写真がただごとでなく多い)
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1052115261487767.1073742023.186223978076904&type=3

コスモテックのブログ ほぼほぼ「ナスカの電子回路」の話に。
http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/archives/cat_50051214.html

私がインドネシアにまたも行っている理由。

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ライター渡部のほうです。

インドネシア、ジョグジャカルタにおります。
今回も2泊3日+機内泊2日、の強行スケジュールです。

前も書きましたが、これまでのインドネシア滞在記。

2012年 ジョグジャカルタ (ジャワ島)
http://blog.excite.co.jp/dezagen/17984956/
http://blog.excite.co.jp/dezagen/17981562/

2013年 ジャカルタ (ジャワ島)
http://blog.excite.co.jp/dezagen/19855249/
http://blog.excite.co.jp/dezagen/19844541/
http://blog.excite.co.jp/dezagen/19844000/

2016年1月 メダン(スマトラ島)
http://blog.excite.co.jp/dezagen/25277320/

約3週間ぶりですが、こんな頻度でインドネシアに行っていると、インドネシアがすごく好きな人だと思われそうです。
実はそうでもない。。
嫌いでもないですが。

1月のメダンでのリサーチがあまりうまくいかず、ぼんやりとした印象しか記録できなかった悔しさに、リベンジしに来ました。

リサーチというのは、一般的に消費者が買うもののパッケージデザインを見て、その地域の消費者の好みなどを調べる、というものです。
ほぼ2日間、フルで、スーパーマーケット4軒、大型ショッピングモール3軒、伝統的な市場を1軒(というには巨大)、を歩き回りました。

全体的な概要として、
前回、1月は、緑の色に注目しましたが、まず基本的にバティックなどに使われる茶色が生活に最も根付いた色と言えるでしょう。
洋服や家具、小物、雑貨などにもにぶめの焦げ茶〜黄土色が広く使われています。
これは日本でも同じですが、オーセンティックさを出す時も、茶色が使われるように思いました。
こちらは、お店の旗(看板?)。
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茶色は信用できる色、という認識があるようです。

その次の色として、緑、があります。
緑はもう少し今の日常生活、アクティブさ、生命感(というと大げさかな。livelyな色)、清潔感などの表現に見られます。
ただ、基調色の茶色のにぶさに合わせてか、ややにぶめな緑。少し茶色の混じったような緑、黄緑が多く見られます。

ただし、若い人のファッション、IT製品、電化製品、食品やスーパーマーケットで売っているような日用品に関しては、この限りではありません。
買い換えの激しい日用生活雑貨、バケツや保存容器、調理器具、などを見ると、かなり明度の高いプラスチックが好まれていることが伺えます。

バケツ。掃除、洗濯、ゴミ入れなどなど、多様に使われているものです。
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目がチカチカしそうな明るい色。

トイレットペーパーの外袋に黄色オレンジ系は意外でした。
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もちろん、他のどちらかというと地味な色合いのものも多くありましたが、衛生用品(や、薬)のパッケージに強い色を持って来ることに違和感がなさそうです。

そういえば、インドネシアの家用洗剤は「強い」ものが多い。
花王に取材した時、東南アジアの人々は部屋で裸足になる時に、さらっとした感覚を好む、と聞きました。
今、ホテルの部屋では裸足ですが、確かに床はとてもきれい。べとつきがありません。
ルームクリーニングを見ると、バケツとモップでせっせと床を洗っておりました。
その勢いで、バスルームの天板とか、水栓などの水垢も取って欲しいところですが、どうもその辺はおざなりになっている様子。
家庭に寄って違うんでしょうが、床第一、なのは間違いなさそうです。
なので、床にも使える洗剤はがーっとやれる強さが第一、その次に香りなどの付加価値が重視されるのでしょう。

殺虫剤。これは強力な色が好まれるのは万国共通ですが、
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意外なことに、ルームフレグランスのようなパッケージのものも。
ただ無視を殺すだけでなく、部屋に撒くスプレーとしての機能が付加されてきているようです。
これも洗剤と似た傾向なのかも。

インドネシアのパッケージ動向をきちんと見るのは3年ぶり。ジョグジャカルタは4年ぶりです。
この間に随分変化したように感じます。
地元市場も健在ですが、スーパーマーケットの数が増え、扱っている商品のバリエーションも増え、利用者も増えています(前は割と閑散としてた)。

よりタイっぽくなってきた、というのが私の見解です。
よりアメリカっぽいとか中国っぽいとかヨーロッパっぽいとかの言い方のほうが、分かりやすいのですが、それがミックスされてどんどん入ってきている感じ。これはタイで受ける印象に近い。

色にもパッケージにも関係ありませんが、
日本であまりないものとして、ビニールシート(薄手のものから、床材などに使うものまで)のお店に結構頻繁に出くわします。
薄手のものは、こういう使い方が多いのだと思います。
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外に出しているものを覆う役割。
ストールが閉まる時にしっかり覆うものだったり、急に雨が降ってきた時にも使ってました。

ジョグジャカルタレポート続きます。



2016年ジョグジャカルタ その2 茶飲料

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ライター渡部のほうです。

ジョグジャカルタレポート、その2。
ですます調は、実は苦手なので、だ・である調で書きます……いや、書くことする。

最近、新聞などでも取りあげられるようになった、海外における日本の緑茶ブーム。
欧米での展開が注目されているが、アジア圏での広がりも見逃せない。

久々のインドネシアでは、ペットボトル入り茶飲料のコーナーが拡大。
中規模のスーパーマーケットでは、ほとんど1レーンを茶飲料が占めていた。
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この両隣も茶飲料。

日本の伊藤園が「きよら」、サントリーが「MYTEA」を出している。写真には映っていないが、サントリーは他に「みらい」という緑茶飲料もある。
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「みらい」は緑茶ベースで、日本らしさを前面に出したものだった。
http://www.suntory.co.jp/news/2012/11570.html

「MYTEA」は烏龍茶ベース。
http://www.suntory.co.jp/news/2013/11793.html
日本的なイメージよりも、インターナショナルなスタイルで、真ん中のMYTEAの縦帯をくびれさせスリムなイメージを出している。

伊藤園の緑茶飲料「きよら」は緑茶の新鮮な葉を見せ、日本語以外は日本イメージは特に強くはない。
http://www.kiyora.co.id
緑茶とジャスミンをベースにしたものを2013年から発売し、他にミルクティ、抹茶ラテのフレーバーも追加されている。

欧米と異なり、すでにペットボトル入り茶飲料の競合が多いアジア圏で、日本の強みは「缶、ペットボトル化を最初に行った国」というパイオニア感が一つ。しかしこれは一般消費者には伝わりにくい。
緑茶も日本文化だけではなく、中国を中心にアジア圏全般で飲まれている。
紅茶もしかり。
その中で「抹茶フレーバー」というのは強い。インドネシアではまだまだのようだが、抹茶味の人気はじわじわ世界に広がっている。

他のブランドのものを見てみると、
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茶葉を活かし、勢いのあるものが昨今増えている。以前から流通しているNesteaなど、紅茶飲料ではあるが、コカコーラのような清涼飲料水の勢いをパッケージでも出している製品の影響が強いのかもしれない。
今後、Nesteaのような欧米系から、最近勢いを伸ばしている台湾など他のアジア諸国の茶飲料も入ってくるだろう。また、欧米経由の健康志向も無視できない。
インドネシアの人々がどのように受け止め、どれを選んでいくか、気になるところだ。

ちなみに、インドネシアの茶飲料は全部甘い。
以前はポッカの無糖烏龍茶があったが、今回は見つけられなかった。残念。


ジョグジャカルタレポート その3 牛

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ライター渡部のほうです。

ジョグジャカルタのレポート、3発目は牛と鶏。
スーパーマーケットの商品を見始めてから、ずっと追いかけているテーマ。

今回は圧倒的に牛の差が目についた。

メダンの時 http://blog.excite.co.jp/dezagen/25277320/ にも 書いたけれど、乳牛は割と普通。
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日本でも欧米でも見かけるような、無害そうなホルスタイン(の絵)である。

が、牛肉、となると話が違う。
スープストック
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牛肉のでんぶ(田麩) 無表情。牛に笑えとは言えないが。
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コーンビーフ。超怖い。
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ちなみに鶏は世界共通風だった。
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マギーの鶏はどこ行っても表情が明るいな。

ジョグジャカルタレポート その4 昔ながらなモノ

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ライター渡部のほうです。
(以下、アップしてから数時間後、若干補足しました。滞在先のwifi状況があまりよくなかったので、通じる場所で、少し追加)

ジョグジャカルタレポート、4発目は昔ながらなもの。
段々、量産品のインターナショナル化が急激に進んでいるので、絶滅危惧種。

卵のパッケージ。
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何かの葉を割いたものだと思われるが、藁かも。いちいち編んで包んでるのかと思うと気が遠くなりそうだが、市場で人が包むのを見ていたら、機械よりも早いんじゃないかくらいの勢いだった。
こういう天然素材を使ったパッケージはおいしそうに見えるから不思議だ。

紙包みの茶葉。
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実際は茶葉がこぼれているが、一応、茶葉をこぼさないように1枚の紙で包み上げている。
絵柄は、ティーポットなどは分かるのだが、人物だったり、風景の中の人物像だったり、数字だったり、何をアピールしているのかよく分からないところが素晴らしい。
真ん中のマルクスみたいな人は誰だ。

同じく紙包みの茶。
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他の商品でもそうなのだが、数字が3つ並んでいるのが好きらしい。
正確には「999」だが、「666」だとオーメンである。

実はなんだかよく分かっていない製品。紙包みがきっちきっち。
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こちらはお菓子。これも紙包み。
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包み方どうこうより、蜂の絵が怖い。
「delima tawon」って「ザクロスズメバチ」って翻訳されるんだけど、この字面も怖い。

シロップ。こんなにフルーツが入っているわけじゃない。
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野菜クラッカー。こんなに野菜が入っているわけじゃない(だろう、多分)。
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スポンジ。ビューティフルな奥様の絵はよく見るが、メイド風は初めて見た。
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インドネシアのメイドさんがこういう恰好なのか、あるいは奥様にこういう恰好をさせる旦那様が多いのかは謎。

チリソース。
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これは絶滅危惧種ではなく、華人のいるところには一般的なグラフィックかも。中心にものを配置し、円形に取り囲むタイプ。
横のデルモンテは、上に文字が弧を描くように書かれる欧米風。

お湯で溶かして飲む(食べる?)もの。
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こういうリボンの形は昭和だな。

調味料。コックさんの絵、最近日本で見なくて寂しい。コックさんの絵も昭和だな。
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インドネシアで私が一番昭和を感じる食品パッケージ。缶入りビスケット。
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色が変で申し訳ないが、棚一個、全部、缶入りのビスケット(類。ウエハースなどもあり)。
内容量はバラバラだが、大体500gから1kgくらい。開けるときっつきつに天辺まで入っていて驚く。
昔、ちょっと豪華なおやつ(もらいもの)と言えば、缶入りだったよなあ、とリメンバー。
絵もまた、50年くらい古くていい。6客揃ったティーセット、テーブルの上のレースと共に飾りたい。
ご贈答にどうぞ。

ジョグジャカルタレポート その5 その他

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ライター渡部のほうです。

ジョグジャカルタのレポート。
よく分からなかったものなど。

塩に蜘蛛の絵。
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蜘蛛といえば映画『蜘蛛女のキス』は涙を誘う映画でした。その観客の涙で出来ているのです(ウソ)。

映画で『ブラックスワン』といえば、怖いバレエストーリーなのだが、インドネシアではチョコレートである。しかも、レーズンがグリーンで、グリーンピースに見える。
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アシカ(だと思う)だけど、中は麺です。
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インドネシアで子供に人気の乳飲料、MILKUATの特別バージョン。普段はライオンのキャラクターの形のパッケージだが、今回はライオンが世界の民族衣装を着たパッケージ。
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一番手前が日本。江戸時代、こんな粋な服を着た旦那衆が吉原を闊歩していたそうな、的な。

透明なファンタ。
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なんだ!?と思ったら、普通にソーダ味(日本で言うところのサイダー)だそうで。結果的につまんなかった。

言わずもがな↓
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私はこのSEIKOのネオンサインが欲しい。頼んだら売ってくれそうな気もするが、それをどうするかなどということは全く考えていない。
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ジョグジャカルタレポート その6 市場にて

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ライター渡部のほうです。

インドネシア、ジョグジャカルタ。伝統的な市場のブリンハルジョ市場。混沌としていて分かりにくいのだが2階建てと3階建ての二棟からなっていて、合計4.5ヘクタール(東京ドーム1個分)、店舗数5000軒だとか。サイズに関しては、資料が少ないので、正確なところは分からない。しかも屋外にも露店が広がっているので、ますます分からない。

正面入口から入るとバティック、布類ばっかりなのだが、ずんずん進んでいくと、生活雑貨、生薬、機械類(オートバイのパーツなど)、精肉、食品、など、市民生活を支えるものとなっている。

主に食品をどのように「包む」のか、見てみた。

簡易食堂。
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食堂っつーか、おかずが並べてあるだけ、という言い方もあるけど、作り手(売り手)がいて、おかずがあって、お客が来れば、もうそこは食事処。
四角に切ったバナナの葉は、おかずを並べたり、おかずの上に置いて埃や虫を避けたり、持ち帰りの時に包む包み紙になったりする。
包んだモノの写真を撮ってこなかったのが残念だが、しかも文章で説明しようと色々書いてみたのだが、なんとも写真がないと分かりづらい話なので、ここではやめておこう。色んな屋台や食堂を見たが、包み方はそんなに決まってない様子。四角錐っぽい形になったり、平べったい形になったり、包むモノにより多様。しかし、かなり汁っぽいものもきちっと包み込める技術がすごい。
この「お包み技術」が継承され、市販品の紙包み商品に活かされているのだと感じた。

葉っぱと言えば、この魚のカゴ(?)がすごい。
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サイズ感分からなすぎだけど魚のサイズ10センチくらい。
iPhoneより小さい魚の箱、だとお考え下さい。

ビニール袋入り総菜。
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広い市場で働く人向けに、狭い路地も通り抜けられるような小さいカート(というか家庭用ワゴンにカゴを乗っけただけだけど)でおかずを売っている。
ビニール袋に汁物が入っているが、きっちちゴム止めされ、こぼれてない。
タイでもそうだが、くるくるっと輪ゴムを止めるだけで、なんであんなにこぼれないようなビニール包みができるのか、よく不思議に思う。

あらかじめ袋に入っているもの。
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上はテンペを揚げたスナック、下の左側は日本のイカ天スナックみたいな、ウナギ天。
市場で一番よく見るのは、透明なビニールの袋に、商品や店名を印刷した紙を商品と一緒に入れる上のタイプ。あるいは、下の写真右側のようなそうした紙でビニール袋にホチキスで留めるタイプ。
下の写真左側の下のほうになってしまったが、ビニールに直接印刷されているものもある。

決まった商品が、決まったサイズで入るのが分かっている量産品は、袋に印刷されているものも多いのだが、基本計り売りが多いゆえ、対応しやすい透明ビニール+印刷された紙、の組み合わせ。

これはお菓子屋。
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プラスチックの入れ物に入っているものを計り売りする。

揚げ物や食品を透明ビニールやプラスチック容器に入れて、露天に出す、というのは、油焼けしやすいだろうし、今の日本ではなかなか見ない。ただし、透明なのは、コストの安さからだけではない。
工場製、量産されたものを販売するスーパーマーケットなどではなく、実物を見て買う市場では、その実物がどういうものであるか、目で見て確かめる、ということも重要である。

私が子供の頃は、ポテトチップスなどのスナックが透明な窓のあった袋から中身の見えないアルミ蒸着フィルムに変わった移行期で、中身が見えなくて割れていないか不安だ、と思った覚えがあるのだが、いまではすっかり普通。中身が見えなくても大丈夫、と思わせる。あるいはそう思わせられている、とも言えるけど。

パッケージデザインは、中身がどういうものであるか、を代弁する機能がなくてはならない。店の写真に映っている店主のおじさんの役目を果たさなくてはならないわけだ。
現状のインドネシアでは、市場もあれば、個人商店もスーパーマーケットもある。
スーパーマーケットも随分普及してきているが、値段の面から見ると、圧倒的に市場のほうが安い。
では、パッケージされた商品には、(モノによっては、だけど)倍以上する値段を意味や価値をいかに伝えられるのか。
ただきれいなパッケージでは訴求しない。このブランドなら、この説明なら確信して買える、と消費者を説得しなければならない。
今のインドネシアの食品、日用品はそういった状況なのだ。

その他、市場で見て気になったもの。

このハンガー、丸い輪っかはどう使うんだろう、なんか便利っぽいけど、邪魔なような気もするし。
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市場は、それぞれの商店主が朝やって来て、店を開く。シャッター式になっているところもあるが、タンス式とでも言えばいいのだろうか、
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すでに収納されていて、朝、鍵を開け、扉を開き、商品を出せば商店になる。
下の収納部分は閉めて、その上に座っている店主もいるし、全部開けて、前に椅子を置いて座っている店主もいる。ミニマル住宅みたいだ。



ジョグジャカルタレポート その7 インドネシアの製品を見て

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ライター渡部のほうです。
すでに東京に戻っているのだが、今のインドネシアの製品、パッケージについてまとめてみたいと思う。

いかにも「インドネシア」らしい製品、と思ったのがこちら。
ホテルに電気ポットがなく、900円くらいだから、とカルフールで買った電気ケトル。
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店頭で色は青やピンクのバリエーションがあったが、緑を買ってみた。
色の選択肢で、緑は必須のようだ。

奥においた外箱の70年代ディスコ風なキラキラな派手さも、いかにもインドネシアの人(買うのは大体女性)が好きそうだ。

製品のおおざっぱな作りも、いかにも。
スイッチはなく、水を入れて電源に差すだけ。
気をつけて見ていないと、水が蒸発して、プラスチックが熱すぎて溶けてしまいそう。
使っている間、ハラハラし通しだった。
電源コードの作りもいい加減な感じで、バリ(プラスチックの型からはみ出た部分)がありすぎ、そういうデザインなのかと思ってしまう。

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電化製品は輸入モノが多く、これは中国産インドネシア向けかと思ったら、インドネシア産だった。
やはり現地の志向を表したものになるのだろう。

で、他のものも諸々含め、おおざっぱにまとめてみると以下のような傾向が見えてきた。

・茶色と緑
 メダンに行った時に書いたが http://blog.excite.co.jp/dezagen/25277320/ 緑が非常に目につく。
もともと緑(植物、という意味で)の多い国、というより、植物だらけの国、なので、緑に親和性があるのは納得がいく。そんなに単純な話なのか、もっとリサーチが必要な気もするが、植物の成長と同じく
緑=いきいきとした感じ
茶色=成熟の色、安定感、
というイメージはあるようだ。

・男女差
男性と女性の役割がかなりはっきりと分かれている。
家庭用品ははっきりと女性のテリトリー。
今回見た日用品や食品のパッケージの傾向も、女性向け、と考えたほうがいいかもしれない。

男性は「強さ」「ステータス」が強調されているものを好んでいるようだ。
例えば、バイクは黒地に赤、鞄などは濃い目の色合いに、メタルのパーツが着いているものなど。

・光るものが好き 
メタルのパーツもそうなのだが、上のケトルの外箱がキラキラしてる感じや、実際に製品がツルツルしているもの、は、新しさの象徴として受け止められている。

・伝統的な市場や個人商店の強さ。スーパーマーケットの役割の違い
 スーパーマーケットの軒数も増え、利用客も増えている印象だが、市場や個人商店の賑わいからすると、スーパーマーケットを常に使っている層というのはそれほど多くない。
併用している人が多いためなのだろう、スーパーマーケットでは例えば大型サイズの食用油や洗剤、トイレタリー商品や、洗剤、シャンプー類などリフィルのものが多く、まとめ買いすれば得なものが多く見られる。
市場や個人商店は日々の買い物に、スーパーマーケットはまとめ買いの時に、という使い分けだろう。

市場では、実物を目で見ることが重要視されている。食品に関しては計り売りが基本なので、パッケージというような段階ではなく、単に透明な袋、である。
市場では、量産品の小袋入りも販売されているが、中身そのものが分かる状況の中で売られているものなので、調味料の小袋も、「こんなものが入っていますよ」と写真や絵で分かる、目ですぐ分かる要素が必要。
シャンプーにしても、これも「このブランド」あるいはその前段階として「シャンプーですよ」「洗剤ですよ」と、過剰なほどにアピールするものでなくてはならない。

個人商店は水から食品から衛生用品から、いわゆる何でも屋が多い。小袋商品他パッケージされた商品が売られていて、あまり大きいサイズのものはない。昔の写真を引っ張ってくると、2012年の写真だが今もあまり変わらない。
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小袋の形態の場合、アルミ蒸着フィルムを、熱圧着して袋にしたものが多く、大体似たような袋の作り。こうなると、パッケージ上で「これは何が入っているか」を明確に示す必要がある。
ヘアケア製品でも、シャンプーなのかコンディショナーなのかヘアジェルなのか。調味料はビーフ味なのか、チキン味なのか。などなど。
とはいえ、市場にしろ個人商店にしろ、店主がいるので、説明してくれる人がいる。
上に「光るものが好き」と書いたが、個人商店でも半ば屋外なので、埃が付きやすい。表面がツルツルしていれば、ほこりも着きにくい、というメリットがある。

この日常生活を踏まえて、スーパーマーケットでは、ある程度ブランドや商品名が分かった状態で、まとめ買いをしに行く。商品が並び、自分で判断して買わなければいけない状態なので、ここでもパッケージに説明が必要だが、個人商店で並んでいる商品に比べ、写真よりも文字情報が多くても構わない。
効能機能などのアピールも重要だが、今のインドネシアの状況だと「どれだけお得か」に注目している消費者のほうが多いような気はする。
この辺は、スーパーマーケットのあるエリア(ジャカルタの都市部、真ん中なのか、あるいは地方都市の郊外型なのか、などの違い)でかなり違いはある。

これ以上書いていると長すぎてなんだかワケが分からなくなりそうなので、インドネシアに関して、ざっとした印象としてこの辺で切り上げておこうと思う。
明日からロンドンパリに行く私なのだし。

ロンドン P&Wの事務所に行って来ました

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ライター渡部のほうです。

インドネシア旅行から戻り、2日置いて、ロンドン。

10年以上、色んな国のスーパーマーケットを巡ってパッケージを見て来て、イギリスはスーパーマーケットのパッケージ言語が最も豊かな国だと思う。
簡単に言うと、スーパーマーケットでのパッケージデザイン文化が最も進んでいる、というのが私の見解。

整然とした美しさ、で言えばMarks & SpencerやWaitroseのプライベートブランドが思い浮かぶが、
バリエーションを揃え、かつ、消費者に分かりやすく、訴求力もある、という点では、現時点でテスコ tesco
がうまい。

テスコのプライベートブランドのプレミアムライン「tesco finest*」
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http://www.tesco.com/groceries/zones/default.aspx?name=tesco-finest&icid=GSR_Finest

を、発売の1998年から手がけているのが、ロンドンにベースを置くデザインコンサルタント、P&W。
こちらはP&Wのtesco finest*紹介ページ。
http://www.p-and-w.com/work/tesco-finest/
日本語 pdf http://www.p-and-w.com/wp-content/uploads/2015/09/PandW_JAPANESE_PORTFOLIO_AUG15.pdf

P&Wは2人の代表者の名前、Simon Pemberton(サイモン・ペンバートン)氏とAdrian Whiteford(エイドリアン・ホワイトフォード)氏の名字の頭文字を取ったもの。
今回、エイドリアン氏と日本人スタッフの森田亜紀子さんに会い、お話を聞いてきた。

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P&Wのオフィスにて。エイドリアン氏。

tesco finest*のシリーズは、1998年から約2年おきくらいで、リニューアルを重ねている。
90年代後半、イギリス(恐らくイギリスに限らないが)のスーパーマーケットのプライベートブランドというのは、ナショナルブランドよりも安く提供する商品が主で、そこに“より高い”プレミアムラインが登場したこと自体斬新だったが、瞬く間に、他の、世界各国のスーパーマーケットにも広がった。
現在、プライベートレーベルのカテゴリー分けとしてgood (低価格帯)、better(中間価格帯)、best(高価格帯/プレミアムライン)の3種はほぼ基本となっている。

登場時tesco finest*は、シルバーの帯といかにも豪華な雰囲気のシズル写真を組み合わせたもので、そのカテゴリーのパイオニアの運命でもあるが、他のスーパーマーケットでもプレミアムラインの商品といえば、黒地+銀か金の帯もしくは文字+豪華シズル写真、とtesco finest*同様なデザイン構成されるものが多い。
tesco finest*も2010年くらいまでは、こうしたシャープなイメージのデザインだったが、2012年以降趣向が変わり、黒地を多く、イラストレーションや手書き文字を多く使ったものに。2014年にはさらに約1500のアイテムの商品のバリエーション毎(シリアルのシリーズ、スパイスのシリーズなど)にスタイルを変え、さらに手書き文字やイラストが多くなり、素材もマットな風合いのあるものに、銀の要素は「tesco finest*」の文字部分だけ、と絞った。
現行のtesco finest*は複数のデザイン事務所がデザインを手がけているので、すべてP&Wがデザインしたものではないが、基本がしっかりしているためだろう、イラストだったり、手書きだったり、スタイルは異なっても「tesco finest*だな」と分かるものとなっている。

10年以上、黒+銀帯のイメージがあっただけに、かなり大胆な変革だと感じたが、
「パイオニアとして常に先に行かないと」とは、エイドリアン氏の弁。

他にも、日本とイギリスの違い、日本はまだプライベートブランドが定着していないこと、ヨーロッパとアメリカの違い、健康を前面に出すパッケージの限度、など様々なことをエイドリアン氏、森田さんと話したのだが、色んな要素がありすぎて書き切れず。
P&Wはまたの機会に改めて取材したいと思った。

アメリカのスーパーマーケット その1 陳列など

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流浪のライター、渡部です。

3月中旬は8日ほどアメリカに行っていた。
途中、ミシガンでのハーマンミラー社見学を挟み、約6日ほどはNYに滞在。
(ハーマンミラーのレポートは後日アップ予定)

で、スーパーマーケットにも当然行く。
さすがNY、人種のるつぼ。ビッグアップル。えー、他何だか分かんないけど、とにかく色んな種類のものが沢山ある。しかもデカい。
ここ数年、毎年1回はアメリカに行っているけれど、何度行っても驚く。

滞在先に近かったTargetというスーパーマーケット。
1902年ミネアポリスで創業。2015年時で全米に約1800の店舗を持つ、全米第5位の小売りチェーン。
以前、マイケル・グレイヴスを起用したプライベートブランド商品を出したり、デザインに積極的なスーパーマーケットという印象だったので、行ってみたのだが、今はそうでもなかった。。

だるま市か…
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サンフランシスコに行った時も思ったのだが、衣料用洗剤tideの棚を見ると、どうしてもだるま市を思い出す。近年より丸い形状の容器になってきてますますだるま度が増している。
手前のものは丸い形状とはいえ、前面背面はフラットなので、カーリングも出来るだろう。

キャンベルスープ
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便利だが、パッケージデザイナーの気持ちをくじく陳列。

今回最大の驚き。
カート用エスカレーター
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人間のエスカレーターと一緒に着いてくるのでペット感がある。

続く。

アメリカのスーパーマーケット その2 顔、人の絵

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ライター渡部のほうです。

アメリカのスーパーマーケットで見たもの、その2。
顔や人間の絵に注目してみる。

若くて元気な坊や達
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日本で言うところのビスコの坊や。
今のアメリカじゃどこ探してもいないんじゃないだろうかと思うのだが、理想像としてアイコン化している。
いないんだろうけど。いや、いるのかもしれないな。アメリカ広いし。

アジア系の自分としては、こういう白人金髪の理想像を毎日見せつけられるとイラっとすることもあるんだが、アイコンはアイコンとして残っていて欲しいものでもある。グリーンジャイアントとかミスターピーナッツみたいな意味で。

東南アジアや東欧に行くと、ハッピーファミリー(若くてハンサムなお父さん、美人なお母さん、娘と息子)みたいな絵が着いた商品を多く見るが、離婚もすれば再婚もする、シングルマザーもシングルファーザーもいる、私のような長期シングルもいる、ゲイのカップルもいる、養子もいる、という現代においては、既存のハッピーファミリー像はさすがにpolitically correctness(この言葉、いつも日本語訳が分からない)に反するというか、反しはしないまでも、反感は買うかも。
てなわけで、今回のアメリカ滞在中で見たパッケージの中では見なかった。

単にカッコイイなと思って撮った
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コックさん像というのも世界万国共通の「おいしさ醸しイメージ」として使われている、
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いや、使われていた、というべきか。
日本では最近見ない。昭和感。
ところで、バゲットの入ったこの袋、手前に「French Bread」と書かれているより、奥の「AMERICAN BAKERY」の字のほうが目立つ。アメリカン押し。

融氷雪剤
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とうていそんな量では溶けまい、という上の雪の精のほうが強い。

続く

アメリカのスーパーマーケット その3 動物

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スーパーマーケットでは当然、動物の絵に注目。

動物ビスケットの歴史 http://blog.excite.co.jp/dezagen/25007608/ の時に書いたんで、改めて説明することもないけど、動物ビスケットの変遷を見て行くと、人間がいかに動物を見ているか、が追えて面白い。

が。
これじゃ分からない。
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アイシング掛け過ぎ。

最近流行の農場系
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とは思えないようなどぎつい色合い。
ナチュラル感を出したいのか、面白さを出したいのか、どっちなんだかはっきりしてくれ。

イースター(3月25日から3月28日)が近いので、ウサギ物、卵形、ひよこ形がやたらとあった。
イースターを祝わない日本人にはさっぱりな感覚だ。
ハロウィーンのように日本に進出してこないことを祈る。これ以上「祝いもの」が増えると面倒臭いから。

これは多分politically correctな動物と人間の関係。牛乳のパッケージ。
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牧場における、人間と牛のふれ合い。
まあ、ふれ合い牧場でやってくれればいいです。
実際の牛見たらでかくて近寄りがたい。と、思う。

毎度おなじみ、マギーVSクノール、スープストック動物対決

マギー
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鶏の種類がちと違うのは、米国で出してるものと、南米で出してるものなど海外からやって来るものと混在しているからか。

マギーの鶏、怖!
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対してクノール。地味だよなあ。
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欧米で豚のスープストックは比較的珍しい。

と、思ったけど、さすがアメリカ、多民族国家。豚も結構いる。
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GOYAはアメリカのヒスパニック系ブランド。
チキン、ビーフもむろんいた
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豚(というかハム味)に比べると、割とおとなしめだ。

アメリカのスーパーマーケット その4 形状

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海外に行くと、日本にはなくて変な形のものや、日本にもあるのだけれど文字やグラフィックが違うことで改めて形について考えてしまうパッケージがある。

象徴的なものの一つとしては、こういうくびれタイプなもの。これは脱臭スプレー。
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円筒型が効率いいと思うのだが、なめらかシェイプというか、女性体型というか、くびれを持たせても、特に魅力的に見えるわけではない。少し持ちやすくはなるんだろうか…?

女性用カミソリとか、ヘアケア製品とか「なぜこの形に?」というものが多いのだが、想像するに(あくまで想像)
商品開発部の人A「今度の新商品、ちょっと目新しい感じにしたいんですけどね」
商品開発部の人B「女性向けじゃないですか。やっぱ、しゅっとした女性らしいラインなんかがいいんじゃないすかね」
A「スリムで健康みたいな感じ?」
B「そうそう」
A「じゃあ、それで行きましょうか」
なんて、こんな軽々しく商品の形が決まるわけはないのだが、なんとなくニュアンスとして「女性=くびれ」とか思ってないかー?みたいな商品にはよく出くわす。

キャンベルスープボトル
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レンジで温めてそのまま飲めるというか食べるタイプ。
コーヒーのタンブラーみたいな形だ。忙しいビジネスマンはスープも持ち歩きながら飲むんだろうか。

ぶれた。。。アナ雪の加湿器。
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雪だるま形のは、学校に導入して欲しい。

旅の同行者が「それ、おでんの大根ですよね」と言う。
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石鹸ですよ。



アメリカのスーパーマーケット その5 その他

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アメリカのスーパーマーケットで気になったもの、その他。

アイスキャンディの色が…
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色といえば、キッズコーナーの女子セクション
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世界万国、女子はピンクが大好き。って誰が決めたんだろな。
不思議なのは、日本だと女子はピンク赤系で、男子は青系、の流れがあるけれど、海外は、女子はピンクというのはほぼ定番な割りには、男子色があんまり決まってない。
なぜだ?これを突き詰めていくと、またpolitically correctness問題にぶつかりそうなので避ける。

シロップかと思った。マジでシロップかと思った。しつこいけど、マジで思った、住宅用洗剤。
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カーペット用ふりかけ(日本で最近見ないなー)アップルシナモンフレーバー。
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脱臭もしくは香り付きゴミ袋。
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どうもアメリカではポピュラーな商品らしく、GLADというゴミ袋や保存袋を出しているブランドに、洗剤ブランドCloroxの抗菌機能プラスとか、ファブリーズ機能プラスとか、さらにそこに洗剤Gainの香り付きとか、どこまでも続いて行きそうなブランドコラボ大会になっていた。

典型的なアジア(中国)イメージの調味料
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こういうグラフィックもアイコンとして是非残っていていただきたいもの。

かっこいいトマト缶
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カップヌードル「ホームスタイル」
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私にとっても、ホームを感じさせる。
というわけで、東京ミッシングにて、帰国。

今回のスーパーマーケットレポートは以上。

TORAYA CAFÉ・AN STAND 新宿にやって来る

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本日は、新宿に出来たばかりの新しい複合施設、NEWoMan、の中に出来たTORAYA CAFÉ・AN STAND のプレスプレビューに行って来た。

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メニューはこんな感じ。
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AN STANDと言うだけに(一応スツールと、カウンターはあるけれど)こじんまりとした場所。
でも、あんペーストもある!あんコッペもある(このコッペパンの中にむっちり美しく入っているあんこはとてもきれい。サンドの仕方を教えて欲しい)!焼き菓子もある!

すっごいなあ、は、こちら。
仲條正義さんの虎。
壁画と袋。
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このインパクトで、他のグラフィックやインテリアは誰がデザインしたの?を聞いてくるのを忘れてしまった。。

詳しくはこちらで。
https://toraya-prd.s3.amazonaws.com/__/_files/toraya/pdf/press_release/20160229_234.pdf

ハーマンミラーの本社、工場に行って来た話 1日目

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すでに1ヶ月以上前の話になってしまったのだが、3月15日と16日に掛けて、アメリカはミシガン、家具メーカーのハーマンミラーの本社に行って来た。
ハーマンミラーHP  http://www.hermanmiller.co.jp

ハーマンミラーの本社、工場があるのは、湖に囲まれたミシガン州の、デトロイト(東端)と反対の西側、Zeelandというエリア。むしろ、対岸のシカゴのほうに近いくらい。行くまで知らなかったが、アメリカを代表する家具メーカー、ハーマンミラー、HAWORTH(ヘイワース)、Steelcase(スチールケース)がこのミシガン西側のエリアに集中している、家具の街。
NYから乗り換え、1時間ほどのグランドラピッズという空港が最寄り。そこから車で45分ほど。なかなかの長旅である。

一番最初に行ってみたいと思った理由は、自分でも使っているアーロンチェア(今17年目。1代目は15年で人に譲り、今2代目)がどのように作られているのか見てみたかった、ということ
また、アレキサンダー・ジラード展で見た昔の椅子の脚と、最近出たGirard Hexagonal Tableの脚がほぼ同じ形なのだけれど、仕上がりがより滑らかになっている。こうした昔のデザインを起用した新商品の場合、どのようにデザインを発展させていくのか、聞いてみたかった。

のだが、ハーマンミラーの会社を見てきた後、この疑問はあまりにも末端すぎた。むろん、末端(details)も重要ではあるけれど、むしろ会社として(作る側の会社として、そして使う側の会社として)どうこれらの家具を使って行くのか、もっと大きな視点で見ることが必要だと思うようになった。
と、家具への目線を変える旅となった。

具体的に見て来たものを時系列で。
今回は、私と、大学の助手(山浦のどか、王亜京)、芝浦工業大学大学院生の堀口拓の4人での見学。(ブログの写真は、4人で撮影した写真が混在)

1日目。
デザインヤード。
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驚くほど自然豊か。
デザインヤードは、クライアントの対応、デザインやマーケティングを含めたいわゆる「本部」。クリエイティブから役員まで、壁のない広大なワンフロアで仕事をしている。

入口入ってすぐ。
カフェっぽいカウンター
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 (コーヒーメーカーなどのある逆側から見たところ)
空いているスペースを自由に使って、ミーティングを行うスタイル。ここで自分の好きな飲み物を持ってミーティング。
概してアメリカのコーヒーは(コーヒー専門店、スターバックスなどコーヒーの専門チェーン店を除き)うっすい、のだが、ハーマンミラーのコーヒーは濃くておいしかった。余計な情報ですが。

デスクの合間合間にも、自由に使えるシーティングスペースがあり、ここでもミーティングしたりしているそう。
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部署によって、家具のセッティングも異なる。ここは120度をベースにしたResolve System。
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参照 http://www.hermanmiller.co.jp/products/workspaces/individual-workstations/resolve-system.html
こうした様々なセッティングは、クライアントが来た時に、多様なワーキングスペースのサンプルとしても機能している。
個人的にはEmbody Chairsがこんなにあっていいなあ、というところに目が行く。
この椅子、初めて座った時は背中にタコの吸盤が張り付いたのか!?と思うような感触に驚いた。

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ここもResolve System。
よく見ると、デスクトップとラップトップ型のコンピュータを使っていることが分かる。
ラップトップの置き方もかなり個人個人で異なる。机にそのまま置く人、モニターを目の高さに持って行けるスタンドを使っている人など。

1日目の夕食時と2日目に本社でインターナショナルアカウントマネージャーの近藤栄子さんのアテンド+日本語通訳(近藤さん、ありがとうございます)でフォローしてもらい、日本との違いも多く教えてもらった。
ラップトップ持ち、もその一つ。アメリカではラップトップでも仕事をし、家に持ち帰り、自宅勤務の形を取る人も多いそう。

なので、たまに空いている席がある。自分のラップトップを持ってきてつなげば、そこが仕事場、という在り方。
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だからこんなに大きな出勤表があったのか。壁一面。後で気がついたけど。
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手作業スペースもあり。
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ざっと見て、日本の会社よりも紙が少ない。机の上のモノが少ない。
イントラネットをきちんと作らないとできないけれど、これくらいモノが少ないと楽そうだ。

役員室。
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というか、壁がないので、役員の人がいるコーナー、という感じ。
社長席は奥、だけど、家具は同じ。開けてる。

敷地奥には商品やパーツ、素材のテストを行うテストラボを併設。テストラボ、すごい面白かったのだけれど、残念ながら写真撮影禁止なのだった。
テストラボの話は2日目に。

テストラボに行く途中のカンティーンの様子。
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モニターを見たり、概要を聞いたプレゼンテーションの部屋はこんな感じ。
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イームズやイサム・ノグチ、ジラードなど、コレクションと呼ばれる50年代〜70年代に掛けてデザインされたものをメインにアレンジしたお部屋。
一方でハイテク/エルゴノミクス最先端なオフィス家具があり、一方でクラシカルなスタイルがあり。様々なスタイルが提供できるというのはハーマンミラーの強みの一つだ。

2日目の話に続く。

ハーマンミラーの本社、工場に行って来た話 2日目前半

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2日目はまた別の社屋で、グリーンハウス、と呼ばれる部署に行く。
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ここでは、樹脂系の家具製造、及びショールームがある。

プレゼンテーションを受けるお部屋。ここもまたコレクションと呼ばれる家具でしつらえられている。
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左にいるのが近藤栄子さん。
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手前、Eames Lounge Chairでコーヒー飲みつつ余裕な私。こんな風に座ってみたかった、夢が叶った。
奥は何でも答えてくれた、ハーマンミラーの生き字引、ガーブ・キングマ氏。
何でも答えてくれるガーブさんなのだが、この時点で私の興味が、家具のディテールの話よりも、企業としてどういう指針を持っているか、に変わって来て、質問が曖昧になってきてしまい、ガーブさんもさぞかし困ったことでありましょう。

我々の見学では、撮影禁止だった工場の様子が、youtubeのHerman Millerページに上がっていたので、参考まで。
The Making of Herman Miller Chairs
Published on 3 May 2012

ビデオ中、0:40〜2:06まではテストラボの様子。
テストラボは、前日に行ったデザインヤードのほうにある。

テストラボでは、例えば椅子として出来たものの加重、衝撃、耐久性などをテストするだけではなく、今後製品化されるものの、パーツ(素材違い、微妙な角度違いなど)の耐性テスト、さらに既存のすでに市場に出ているものを定期的にテスト、と、あらゆるものをあらゆる方法でテストするところ。
日光や湿度、温度にどれだけ耐え、どの時点で劣化するのか、というテストのスペースは、家が一軒入るくらいの大きさ。
リクライニングに何回耐えられるのか、加重に何回耐えられるのか、というのは専用のマシンで、がちゃんがちゃんテストし続け、夜、人がいなくなっても延々とがちゃんがちゃんが続くらしい。夜、見に来てみたい。
パーツの強度テストでは次々とパーツが破壊されるまで力を加えられる。次々と壊れていく様は、見ていて気持ちが良い程であった。デザイナーや商品開発の人は気が気じゃないだろうけど。
壊れたパーツは一つ一つ保管され、どこの部分が弱いのか、どう壊れるのか、後で検証される。
このような過酷なテスト(アメリカの基準、国際基準以上に厳しいテストをハーマンミラーでは行うそうとのこと。なるほど、長持ちするわけだ)を経たものが製品化され、市場に出る。このテストラボを見ていると、そうそう簡単には市場に出なさそうで、一つの製品の道のり遠いなあ、と思った次第。

モデルルームへ。
Locale
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参照 http://www.hermanmiller.co.jp/products/workspaces/individual-workstations/locale.html

Public Office Landscape
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参照 http://www.hermanmiller.co.jp/products/workspaces/individual-workstations/public-office-landscape.html

日本にはまだ入ってきていないヘルスケア部門のショールーム一部。
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このシステムは美術系の大学に取り入れられる(取り入れて欲しい、というべきか)と思ったもの。
一つは、薬品などの整理ユニットは、学内で使う小さいものの仕分けにそのまま使える。危険物の管理も鍵の掛かるロッカーを付けることができる。
個人的なことを言えば、私は「日用品」がテーマゆえ、本もあれば、スーパーの袋もあれば、パッケージ各種もあれば、と形態がバラバラなものを保存していて、引き出し式の整理棚に入れておくと、どこに何が入ったか分からない。で、そのうち忘れてしまう。こういう斜めから見える収納ユニットがあると楽だ。
薬剤を多く扱う工房はより、こうした収納が必要になりそうだ。

また、もう一つは、対面式の医者と患者という関係は、教員と学生の関係にも通じるものがあるため。
モニターを見て情報を共有しながら、問題の解決方法を提供していく、方法は、家具をどのようにアレンジしても出来ることなのだろうが、そのようにしつらえた場所であればよりスムースにできるんじゃないだろうか。

1日半の見学の中で、家具の配置によって、いまある状況をもっと良くできるのではない、という具体的なイメージが湧いてくるようになった。
この時までにも何度か「ハーマンミラーが売っているのは家具ではなく、解決法である」と言われていたのだが、日本にいてハーマンミラーというとアーロンチェアやイームズのシリーズなど、単体でのイメージが強かったため、あまりピンと来なかったことや、最近はどこの会社でも(デザイン会社でも)「売っているのは商品ではなく、解決法」という言い方をするので、広告の売り文句的に聞いていたのだが、アメリカのハーマンミラーの場合、日本よりももっとオフィス提案の比重が大きい。
さらに、それを具体的に会社見学(会社の透明性)という形を取って見せてくれたので、見てるこちらも「ああ、こういう使い方ができるんだな」と納得しやすかった。

むろん、アメリカと日本のサイズ感の違いもある。働き方の違いもある。
既存の家具を全部とっぱらって、新しいシステムを全導入というのも無理があるだろう。
また、日本にもいい会社があるし、ハーマンミラーだけが解決策を提示しているわけではない。
だが、ハーマンミラーの提案する合理的なところ、変化に対応していこうとする姿勢から、得るものは多い。

2日目の後半に続く。

ハーマンミラーの本社、工場に行って来た話 2日目後半

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この辺はうらやましい編。

うらやましい社内ジムスペース。
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うらやましい社内体育館。
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この体育館(という言い方をすると、なんとも中学高校のようでだっさいが)は、写真右側でモニターを用意していることからも分かるように、多くの人が来る時のプレゼンテーションルームとしても使われる。

ちょっとだけ移動して、ミッドウエストディストリビューションセンターというところへ。ここにすごい場所が。

アーカイブ室!
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ハーマンミラーの創立は1923年から。その前身となるスター・ファニチャー・カンパニーは1905年に創業。100年以上の歴史資料を整理、整頓し、かつ展覧会など必要時に必要なものをすぐ出せるような仕組みにするには相当の努力があったに違いない、ですよね?と聞いたら、かなり本気な顔で「そう。大変よ」と言われた。やっぱ大変なんだな…。

展示会行きを待っている家具などの資料。
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こうしたボリュームを取る資料は、倉庫から必要時に出してくるそう。

平面の資料は引き出しに。
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ジラードの布サンプルがわわわーと。
設計図がわわわーっと。
素手で触っていいとのことで、逆に緊張。

昔の広告やカタログを広げてくれているところ。
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手前に、私のグー。見たい資料がありすぎて、どこを見たらいいか分からなくなってる上に、あまり時間がなくなってきて、見切れない!と悔しさのあまり、手がグーになってた。

ちょっと珍しいもの。
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昔の工場ではこのように木の板に設計図、解説図を書き、工場で働く人に指示書として見せていたそう。このパネルが何枚もあり、全部見てみたかった。

最後環境配慮の話を1時間ほど聞く。
ハーマンミラーの環境に対する取り組みはよく知られているところなのだけれど、驚いたのは、2020年までに○○%、と目標基準を明確に示していること。
「パーフェクト・ヴィジョン・プログラム」概要の日本語はここに。
http://www.hermanmiller.co.jp/about-us/press/press-releases/all/10-jun-2010.html
英語ではさらに詳細。このpdfの20〜22ページ目は、どこまでが目標で、2015年はどこまで来たか、2016年の指標はどこか、明確に書いてある。
http://www.hermanmiller.co.jp/content/dam/hermanmiller/documents/a_better_world/Better_World_Report.pdf

再度、「売っているのは商品ではなく、解決法」という言葉に戻るのだけれど、環境保護を解決するにしても数字できちんと示している。
デザインにしても環境にしても、感情的なところや、見方による違い(車がないとまったく移動できない場所なのに、車のガソリンと排気は、とか、気になることもあれど)など曖昧な部分は多い。それを踏まえた上で、これを基準にしてこう行く、と断言してやり切って行くのが凄いと思う。

ちなみに頂いたお土産の蜂蜜もこの環境の取り組みの一部。
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このグリーンハウスを作った際、スズメバチが群生し(というところがまた、大自然を感じさせるが)その対処法として、スズメバチを殺すのではなく、ミツバチ(ミツバチの巣12個、約 60万匹を投入したことに始まる。
蜂蜜採取の巣箱も作り、自社蜂蜜が出来る、と一石二鳥の解決法として知られている。
その蜂蜜をまさかもらえるとは思わず。貴重すぎてまだ手を付けられない。

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