制作の裏側で　見えない苦労

　ライター渡部のほうです。



　先日ブログに書いた『祈りのかたち展　vol.2』
https://aizu.zokei.ac.jp/index.html

https://dezagen.exblog.jp/30444486/
　ブログをアップした後、かなり制作に苦労した、と聞き、どんな風に作って行ったのか東京造形大学工房の王亜京（おう・あちん）さんに話を聞いた。王さんは工房職員として工房機械を使いこなす学生の強い味方。主に立体作品の制作補助をしている。


　例えば、修士課程の小柴優さんが担当した、新しい位牌のコンセプトモデル「Hiyori」。
https://aizu.zokei.ac.jp/hiyori/index.html




　位牌の装飾を排除し、すっきりとした木の造形物に。


　
　上のリンクの映像を見てもらうと分かりやすいが、おりんを鳴らすと音に反応し、戒名が光って見える、というものだ。
　このふわっとした光を作る為に、中に苦労が隠れていたのである。





　制作方法は前後2つのパーツに分けて削り出した後、前面の方に文字が透ける程度に板を残し、レーザーカッターで文字を彫り込んだ。



　文字部分の板が厚すぎては文字がはっきり見えないため、薄くしたいのだがレーザーでの加工では、慎重にやらないとすぐ穴が空いてしまう。王さん曰く、この適度な中間の具合を作るのが難しく、何度も失敗した、とのこと。
　1回レーザーで穴を空ける形で文字を抜き、その上に薄い突き板を貼ってはどうか聞いてみたところ、テーパーが掛かっている形だけに、突き板ではきれいに木目がでにくい、とのこと。
　となると、やはりこの突き抜けない程度に極薄の板を残しながら掘る、という方法になるわけだ。


　完成品5個に対し失敗作は3,4個、しかも切削にかかる時間は1パーツ2日というから苦労も偲ばれる。デザインは表面だけではない。大変な苦労と制作スタッフの努力が物の制作には隠れている。